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住吉の里行きしかば春花の
いやめづらしき君に逢へるかも

歌の意味
住吉の里に行ったところ、春の花のようにいよいよ心ひかれるあなたに逢えたことだ。
鑑賞
巻第十 春雑歌 1886

詞書「逢ふを懽ぶ」
 住吉の里を訪れて、春の花のようにすばらしい人に思いがけず逢えた喜びを詠んだ歌で、題詞は「逢ふを懽ぶ」である。「春花の」は「めづらし」を導く比喩で、逢えた相手の魅力を春の花の美しさにたとえている。前の二首が老いを嘆き慰めたのに対し、この歌は出会いの喜びを歌い、春雑歌の短歌の終わり近くに明るい情感を添えている。

 初句「住吉の」は摂津国(現在の大阪市住吉区あたり)の住吉である。住吉大社のある海辺の地として知られた。
 二句「里行きしかば」の「しか」は過去の助動詞「き」の已然形、「ば」は確定条件で、行ったところの意となる。
 三句「春花の」は次の「めづらし」にかかる比喩で、春の花のようにの意である。
 四句「いやめづらしき」の「いや」はいよいよ、「めづらし」は心ひかれる、すばらしい意である。
 結句「君に逢へるかも」の「る」は完了、存続の「り」の連体形、「かも」は詠嘆である。逢えた喜びを示して結ぶ。

すみのえ:摂津国の地名。今の大阪市住吉区あたり
出典
万葉集
前の歌
物皆は新たしきよしただしくも 人は古りにしよろしかるべし
次の歌
我が宿の毛桃の下に月夜さし 下心よしうたてこのころ