冬こもり春咲く花を手折り持ち
千たびの限り恋ひわたるかも
- 歌の意味
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春に咲く花を手折って持ちながら、千度という限りを尽くして恋い続けることだ。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1891
詞書は前の歌に続き「春相聞」
春に咲く花を手折って持ち、その美しさに恋しい人を重ねて、限りなく恋い続ける思いを詠んだ歌である。「千たびの限り」という誇張した表現によって、尽きることのない恋心の深さが示されている。前歌の別れの歌に続いて、別れた後の恋しさが続いていく思いを詠んでいる。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「冬こもり」は「春」にかかる枕詞である。本巻の第千八百二十四首と同じ初句である。
二句「春咲く花を」は春に咲く花をの意である。手折る花に恋しい人の面影を重ねている。
三句「手折り持ち」は手で折って持っての意である。
四句「千たびの限り」は千度という限りを尽くしての意である。数の誇張によって恋の深さを表す。
結句「恋ひわたるかも」の「わたる」はずっと続ける意、「かも」は詠嘆である。尽きない恋を嘆いて結ぶ。
たをる:手で折る
こひわたる:恋い続ける
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春山の友鴬の泣き別れ 帰ります間も思ほせ我れを
- 次の歌
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春山の霧に惑へる鴬も 我れにまさりて物思はめやも