春されば卯の花ぐたし我が越えし
妹が垣間は荒れにけるかも
- 歌の意味
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春になると卯の花を踏みしだいて私が越えて行った恋人の家の垣根の間は、今は荒れてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1899
詞書「花に寄す」
かつて卯の花を踏みしだいて通った恋人の家の垣根が、今は荒れてしまったことを嘆く歌で、題詞は「花に寄す」である。恋人のもとへ通った日々の思い出と、荒れた垣根に見る今の寂しさとが対比され、恋の終わりや相手の不在がうかがえる。卯の花は初夏の花だが、春の相聞に置かれている。
初句「春されば」は春になるとの意である。
二句「卯の花ぐたし」の「くたす」は腐らせる、損なう意で、卯の花を踏みしだいての意となる。
三句「我が越えし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。かつて垣根を越えて通った思い出を示す。
四句「妹が垣間は」は恋人の家の垣根の間はの意である。
結句「荒れにけるかも」の「けり」「かも」は詠嘆で、垣根が荒れてしまったことに気づいた寂しさを示して結ぶ。
うのはな:ウツギの花。初夏に白い花を咲かせる
くたす:腐らせる。損なう
かきま:垣根の間。垣根のすき間
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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貌鳥の間なくしば鳴く春の野の 草根の繁き恋もするかも
- 次の歌
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梅の花咲き散る園に我れ行かむ 君が使を片待ちがてり