藤波の咲く春の野に延ふ葛の
下よし恋ひば久しくもあらむ
- 歌の意味
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藤の花が波のように咲く春の野に這う葛の根が地下に伸びるように、心の中でひそかに恋い続けるなら、長くかかることだろう。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1901
詞書は前の歌に続き「花に寄す」
春の野に這う葛の根が地中に長く伸びていく様子を序として、心の中でひそかに恋い続ければ、その恋は長く続くことになるだろうと嘆く歌である。表に出せない忍ぶ恋の苦しさと、その先の長さへのため息がうかがえる。藤と葛という蔓性の植物を重ね、長く続く恋を印象づけている。
初句「藤波の」は藤の花房が波のように揺れる様子を表す語である。
二句「咲く春の野に」は咲く春の野にの意で、字余りの句である。
三句「延ふ葛の」は地を這う葛のの意である。葛の根が地下に長く伸びることから、上の句は「下」を導く序となっている。
四句「下よし恋ひば」の「下」は心の内、ひそかにの意で、「よ」は経由を表す。心の内でひそかに恋うならばの意となる。
結句「久しくもあらむ」の「む」は推量である。忍ぶ恋が長く続くことを思いやって結ぶ。
ふぢなみ:藤の花房が波のように揺れるさま。藤の花
はふ:這う。蔓などが地を伸びていく
くず:マメ科の蔓草。根が長く伸びる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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梅の花咲き散る園に我れ行かむ 君が使を片待ちがてり
- 次の歌
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春の野に霞たなびき咲く花の かくなるまでに逢はぬ君かも