春の野に霞たなびき咲く花の
かくなるまでに逢はぬ君かも
- 歌の意味
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春の野に霞がたなびき、花が咲いて、このようになるまで逢ってくれないあなたであることよ。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1902
詞書は前の歌に続き「花に寄す」
春の野に霞がたなびき花が咲くほどに季節が進むまで、なお逢ってくれない恋人を嘆く歌である。季節の進行が、逢えないまま過ぎた時間の長さを示している。本巻の第千八百九十四首が一日の長さに逢えない嘆きを詠んだのに対し、この歌は季節の移り変わりという長い尺度で逢えない嘆きを詠んでいる。
初句「春の野に」は春の野にの意で、字余りの句である。
二句「霞たなびき」は霞がたなびいての意である。春の深まりを示す。
三句「咲く花の」は咲く花のの意で、季節の進行を示す。
四句「かくなるまでに」はこのようになるまでにの意である。霞がたなびき花が咲くまで季節が進んだことを指す。
結句「逢はぬ君かも」の「かも」は詠嘆である。逢ってくれない恋人を嘆いて結ぶ。
たなびく:霞や雲が横に長く引いてただよう
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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藤波の咲く春の野に延ふ葛の 下よし恋ひば久しくもあらむ
- 次の歌
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我が背子に我が恋ふらくは奥山の 馬酔木の花の今盛りなり