我が背子に我が恋ふらくは奥山の
馬酔木の花の今盛りなり
- 歌の意味
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私があなたを恋い慕う思いは、奥山の馬酔木の花のように、今が盛りである。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1903
詞書は前の歌に続き「花に寄す」
恋人を思う自分の心を、奥山に咲く馬酔木の花の盛りにたとえた歌である。人目につかない奥山にひっそりと咲き満ちる馬酔木に、表には出さないが心の中で満ち溢れる恋心を重ねている。本巻の第千八百六十八首で吉野の馬酔木が詠まれたのに続き、馬酔木の花が恋の盛りの比喩として用いられている。
初句「我が背子に」は女性が恋人や夫を親しんで呼ぶ語で、作者が女性の立場に立つことを示す。
二句「我が恋ふらくは」の「恋ふらく」は「恋ふ」のク語法で、私が恋うことはの意となる。
三句「奥山の」は人里離れた奥深い山のの意である。人目につかない恋心を暗示する。
四句「馬酔木の花の」は比喩の対象である。房状に咲き満ちる白い花の姿を示す。
結句「今盛りなり」は今が盛りであるの意で、恋心の高まりを花の盛りにたとえて言い切って結ぶ。
あしび:ツツジ科の低木。春に白い壺形の小花を房状につける
こふらく:恋うこと。恋い慕うこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春の野に霞たなびき咲く花の かくなるまでに逢はぬ君かも
- 次の歌
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梅の花しだり柳に折り交へ 花に供へば君に逢はむかも