かくしあらば何か植ゑけむ山吹の
やむ時もなく恋ふらく思へば
- 歌の意味
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こうなるのだったら、どうして山吹を植えたのだろうか。やむ時もなく恋しく思うことを考えると。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1907
詞書は前の歌に続き「花に寄す」
山吹を植えたことで、かえってやむ時もなく恋しさがつのるようになったと嘆く歌である。「山吹」の「やま」と「やむ時もなく」の「やむ」とが音で響き合い、花を見るたびに恋人を思い出すつらさが表れている。山吹は恋人との思い出に結びつく花であったことがうかがえる。本巻の第千八百六十首の山吹と同じく、山吹に尽きない思いを託している。
初句「かくしあらば」はこのようであるならばの意で、「し」は強意の副助詞である。字余りの句である。
二句「何か植ゑけむ」の「か」は疑問、反語の係助詞で、「けむ」の連体形と係り結びをなす。どうして植えたのだろうかと悔やむ。
三句「山吹の」は植えた花で、同音の「やむ」を導く序となっている。
四句「やむ時もなく」はやむ時もなくの意で、三句の「山吹」と音を響かせている。
結句「恋ふらく思へば」の「恋ふらく」は恋うことの意である。倒置によって悔やむ理由を最後に示している。
こふらく:恋うこと。恋い慕うこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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梅の花我れは散らさじあをによし 奈良なる人も来つつ見るがね
- 次の歌
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春されば水草の上に置く霜の 消につつも我れは恋ひわたるかも