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春されば水草の上に置く霜の
消につつも我れは恋ひわたるかも

歌の意味
春になると水草の上に置く霜がすぐ消えていくように、消え入るような思いをしながらも、私は恋い続けることだ。
鑑賞
巻第十 春相聞 1908

詞書「霜に寄す」
 春の水草の上に置く霜がはかなく消えていくさまを序として、消え入るような思いをしながら恋い続ける心を詠んだ歌で、題詞は「霜に寄す」である。春の霜の消えやすさが、恋に身も心も細る思いを印象づけている。春雑歌の雪の一連で消えやすさが詠まれた春の雪と同じく、春の霜が消えるものとして詠まれている。

 初句「春されば」は春になるとの意である。
 二句「水草の上に」は水辺の草の上にの意で、字余りの句である。
 三句「置く霜の」は置く霜のようにの意で、上の句は「消」を導く序となっている。
 四句「消につつも」の「消」は消える意の「消ぬ」の連用形、「つつ」は反復である。消え入るような思いを繰り返しながらもの意となる。
 結句「我れは恋ひわたるかも」の「わたる」はずっと続ける意、「かも」は詠嘆である。

みくさ:水辺や水中に生える草
く:消える。「消につつ」で、消えては消えての意となる
出典
万葉集
前の歌
かくしあらば何か植ゑけむ山吹の やむ時もなく恋ふらく思へば
次の歌
春霞山にたなびきおほほしく 妹を相見て後恋ひむかも