さ丹つらふ妹を思ふと霞立つ
春日もくれに恋ひわたるかも
- 歌の意味
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頬の赤く美しいあの子を思うとして、霞の立つ春の日も心が暗くなるほどに、恋い続けることだ。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1911
詞書は前の歌に続き「霞に寄す」
美しい恋人を思うあまり、霞の立つ明るい春の日も心が暗く沈むほどに恋い続ける嘆きを詠んだ歌である。「くれに」には日が暮れる意と、心が暗くなる意とが重ねられていると考えられ、明るい春の日と暗く沈む心との対比が印象的である。霞に寄する一連の中で、霞の立つ春の日が恋の嘆きの背景となっている。
初句「さ丹つらふ」は頬が赤く照り映える意で、「妹」にかかる枕詞である。若く美しい女性を思わせる。
二句「妹を思ふと」は恋人を思うとての意である。
三句「霞立つ」は「春日」を修飾し、春の日の明るさを示す。
四句「春日もくれに」の「くれに」は心が暗くなるほどにの意とされ、日の暮れと重ねられている。
結句「恋ひわたるかも」は恋い続けることだの意で、「かも」は詠嘆である。本巻の第千八百九十一首、第千九百八首と同じ結句である。
さにつらふ:頬が赤く照り映える。「妹」「君」などにかかる枕詞となる
くれ:暗いこと。心が晴れないこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春霞立ちにし日より今日までに 我が恋やまず本の繁けば
- 次の歌
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たまきはる我が山の上に立つ霞 立つとも居とも君がまにまに