恋ひつつも今日は暮らしつ霞立つ
明日の春日をいかに暮らさむ
- 歌の意味
-
恋しく思いながらも今日は何とか過ごした。霞の立つ明日の春の日を、どのようにして過ごしたらよいのだろう。
- 鑑賞
-
巻第十 春相聞 1914
詞書は前の歌に続き「霞に寄す」
恋しさに耐えて今日一日はなんとか過ごしたが、明日の長い春の日をどう過ごせばよいのかと途方に暮れる歌で、霞に寄する一連を締めくくる。今日と明日とを対比し、終わりの見えない恋しさの苦しみを表している。本巻の第千八百九十四首や第千九百十一首と同じく、長い春の日を恋しさの中で過ごす嘆きを詠んでいる。
初句「恋ひつつも」の「つつ」は継続、「も」は逆接的な含みを表す。恋しく思いながらもの意となる。
二句「今日は暮らしつ」の「つ」は完了である。ここで二句切れとなる。
三句「霞立つ」は「春日」を修飾し、霞の立つ春の日の長さを思わせる。
四句「明日の春日を」は明日の春の日をの意で、今日と対比されている。
結句「いかに暮らさむ」の「む」は推量である。明日をどう過ごせばよいかと途方に暮れる心を示して結ぶ。
くらす:日を過ごす。暮らす
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
見わたせば春日の野辺に立つ霞 見まくの欲しき君が姿か
- 次の歌
-
我が背子に恋ひてすべなみ春雨の 降るわき知らず出でて来しかも