春雨に衣はいたく通らめや
七日し降らば七日来じとや
- 歌の意味
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春雨で衣がひどく濡れ通ることなどあるだろうか。それなのに七日降ったら七日来ないというのか。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1917
詞書は前の歌に続き「雨に寄す」
春雨を理由に訪ねて来ない恋人に、春雨くらいで衣がひどく濡れることなどあるまい、七日降れば七日来ないつもりかと詰め寄る歌である。軽い春雨を口実にする相手への恨みと、会いたい思いの強さが、なじるような口調に表れている。本巻の第千八百七十七首のように春雨で足止めされる男の側に対し、この歌は待つ女の側から春雨を口実にすることをなじっており、対照的な立場から詠まれている。
初句「春雨に」は春雨でと理由を示す。
二句「衣はいたく」の「いたく」はひどくの意である。
三句「通らめや」の「めや」は反語で、濡れ通ることがあろうか、いやないの意である。ここで三句切れとなる。
四句「七日し降らば」の「し」は強意、「ば」は仮定を表す。七日という誇張によって相手を責めている。
結句「七日来じとや」の「じ」は打ち消し意志、「とや」は問い詰める語である。七日来ないつもりかと詰め寄って結ぶ。
とほる:濡れ通る。しみ通る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今さらに君はい行かじ春雨の 心を人の知らずあらなくに
- 次の歌
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梅の花散らす春雨いたく降る 旅にや君が廬りせるらむ