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おほほしく君を相見て菅の根の
長き春日を恋ひわたるかも

歌の意味
ぼんやりとほのかにあなたを見ただけで、菅の根のように長い春の日を恋い続けることだ。
鑑賞
巻第十 春相聞 1921

詞書は前の歌に続き「草に寄す」
 恋人をほのかに見ただけで、その後の長い春の日をずっと恋い続けていると嘆く歌で、草に寄する一連を締めくくる。本巻の第千九百九首の「おほほしく妹を相見て後恋ひむかも」がほのかに見た後の恋しさを予感したのに対し、この歌はその予感が現実となって恋い続けている姿を詠んでおり、二首は予感と現実の対応をなしている。

 初句「おほほしく」はぼんやりと、ほのかにの意である。第千九百九首の三句と同じ語である。
 二句「君を相見て」は恋人に会っての意である。
 三句「菅の根の」は「長き」にかかる枕詞である。菅の根が長く伸びることから導く。
 四句「長き春日を」は長い春の日をの意である。
 結句「恋ひわたるかも」は恋い続けることだの意で、本巻の第千九百十一首と同じ結句である。

すがのね:菅の根。「すがのねの」で「長し」にかかる枕詞となる
出典
万葉集
前の歌
春草の繁き我が恋大海の 辺に行く波の千重に積もりぬ
次の歌
梅の花咲きて散りなば我妹子を 来むか来じかと我が松の木ぞ