さのかたは実になりにしを今さらに
春雨降りて花咲かめやも
- 歌の意味
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さのかたはもう実になってしまったのに、今さら春雨が降ったところで花が咲くだろうか、いや咲きはしない。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1929
詞書は前の歌に続き「問答」
前歌の、せめて花だけでも咲いてほしいという願いに対し、もう実になってしまったのだから今さら花が咲くことはないと答えた歌で、前歌の第千九百二十八首と問答をなす。実になったとは、すでに他の人と結ばれたことをたとえるとも、恋の時期が過ぎたことをたとえるとも解され、相手の願いをやんわりと退けている。
初句「さのかたは」は前歌と同じ初句で、問答の対応を示している。
二句「実になりにしを」の「に」は完了、「し」は過去の「き」の連体形、「を」は逆接である。前歌の「実にならずとも」に答えている。
三句「今さらに」は今となってはの意である。
四句「春雨降りて」は春雨が降っての意である。花を咲かせる春雨を持ち出している。
結句「花咲かめやも」の「めやも」は反語で、花が咲くだろうか、いや咲かないの意である。前歌の「花のみに咲きて見えこそ」を退けて結ぶ。
さのかた:植物の名。アケビとする説などがある
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さのかたは実にならずとも花のみに 咲きて見えこそ恋のなぐさに
- 次の歌
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梓弓引津の辺なるなのりその 花咲くまでに逢はぬ君かも