古典和歌stream

春雨のやまず降る降る我が恋ふる
人の目すらを相見せなくに

歌の意味
春雨がやまずに降りに降っている。私が恋しく思う人の顔さえも見せてくれないのに。
鑑賞
巻第十 春相聞 1932

詞書は前の歌に続き「問答」
 春雨が降り続いて、恋しい人の顔を見ることさえできないと嘆く歌である。降りやまない春雨が、会えない日々の長さと恋しさの積もりを思わせる。次歌の第千九百三十三首と問答をなし、春雨をめぐって男女が思いを交わしている。

 初句「春雨の」は次の「降る」の主語である。
 二句「やまず降る降る」は絶え間なく降りに降っての意である。「降る」を重ねて雨の降り続く様子を強めている。
 三句「我が恋ふる」は私が恋しく思うの意である。
 四句「人の目すらを」の「目」は顔、姿の意、「すら」はさえの意である。
 結句「相見せなくに」の「なくに」は打ち消しのク語法に「に」の付いた形で、見せてくれないのにの意である。会えない嘆きを示して結ぶ。

め:目。顔を合わせること。姿
出典
万葉集
前の歌
川の上のいつ藻の花のいつもいつも 来ませ我が背子時じけめやも
次の歌
我妹子に恋ひつつ居れば春雨の それも知るごとやまず降りつつ