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相思はぬ妹をやもとな菅の根の
長き春日を思ひ暮らさむ

歌の意味
私を思ってもくれない恋人のことを、むやみに、菅の根のように長い春の日じゅう思って過ごすのだろうか。
鑑賞
巻第十 春相聞 1934

詞書は前の歌に続き「問答」
 自分を思ってくれない相手のことを、長い春の日じゅう思い続けてしまう片思いの嘆きを詠んだ歌である。「もとな」の語に、報われないとわかっていても思わずにいられない心のむなしさが表れている。本巻の第千九百二十一首と同じく「菅の根の長き春日を」の句を用い、長い春の日を恋しさに過ごす嘆きを詠む。次歌の第千九百三十五首と問答をなすと考えられる。

 初句「相思はぬ」は互いに思い合わない、私を思ってくれないの意で、字余りの句である。
 二句「妹をやもとな」の「や」は疑問の係助詞で結句の「む」と係り結びをなし、「もとな」はむやみにの意である。
 三句「菅の根の」は「長き」にかかる枕詞で、第千九百二十一首と同じ句である。
 四句「長き春日を」は長い春の日をの意である。
 結句「思ひ暮らさむ」の「む」は二句の「や」の結びである。片思いに一日を過ごす嘆きを示して結ぶ。

あひおもふ:互いに思い合う
出典
万葉集
前の歌
我妹子に恋ひつつ居れば春雨の それも知るごとやまず降りつつ
次の歌
春さればまづ鳴く鳥の鴬の 言先立ちし君をし待たむ