相思はずあるらむ子ゆゑ玉の緒の
長き春日を思ひ暮らさく
- 歌の意味
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私を思ってはいないであろうあの子のために、玉の緒のように長い春の日じゅう、思い続けて過ごすことだ。
- 鑑賞
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巻第十 春相聞 1936
詞書は前の歌に続き「問答」
自分を思ってはいないであろう相手のために、長い春の日じゅう思い続けてしまう嘆きを詠み、春相聞を締めくくる歌である。本巻の第千九百三十四首とほぼ同じ趣旨をもち、枕詞を「菅の根の」から「玉の緒の」に替えた形となっている。春相聞は長い春の日を恋しさの中で過ごす嘆きで閉じられている。
初句「相思はず」は互いに思い合わない、私を思ってくれないの意で、字余りの句である。第千九百三十四首の初句と同じ趣旨である。
二句「あるらむ子ゆゑ」の「らむ」は現在推量、「ゆゑ」は原因を表し、思っていないであろう子のためにの意である。
三句「玉の緒の」は「長き」にかかる枕詞である。玉を貫く緒の長さから導く。第千九百三十四首の「菅の根の」と同じ働きをしている。
四句「長き春日を」は長い春の日をの意で、春相聞に繰り返し用いられた句である。
結句「思ひ暮らさく」の「く」はク語法で、思い暮らすことよの意となる。詠嘆をこめて春相聞を結んでいる。
たまのを:玉を貫く緒。「たまのをの」で「長し」「絶ゆ」などにかかる枕詞となる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春さればまづ鳴く鳥の鴬の 言先立ちし君をし待たむ
- 次の歌
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旅にして妻恋すらし霍公鳥 神なび山にさ夜更けて鳴く