旅にして妻恋すらし霍公鳥
神なび山にさ夜更けて鳴く
- 歌の意味
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旅の空にあって妻を恋い慕っているらしい。ほととぎすが神なび山で、夜が更けてから鳴いている。
- 鑑賞
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巻第十 夏雑歌 1938
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む 反歌」
夜更けの神なび山で鳴くほととぎすの声を、旅先で妻を恋う声と聞きなした歌で、前の長歌の反歌として添えられている。題詞「鳥を詠む」のもと、夏雑歌の冒頭の長歌に続いて置かれ、左注に「右は古歌集の中に出づ」とある。旅にある作者自身の妻恋いの思いが、ほととぎすの声に重ねられていると考えられる。春雑歌の鳥の一連が鴬を中心としたのに対し、夏の鳥の一連はほととぎすを中心とし、季節の鳥が交代している。
初句「旅にして」は旅にあっての意である。ほととぎすを旅の途中の鳥と見なしている。
二句「妻恋すらし」の「らし」は根拠ある推定で、ここで二句切れとなる。鳴き声を根拠に妻恋いを推し量っている。
三句「霍公鳥」は夏を代表する鳥で、夏雑歌の鳥の一連の中心となる鳥である。
四句「神なび山に」の「神なび山」は神の鎮まる山の意で、飛鳥の雷丘や三諸山などを指すとされる。
結句「さ夜更けて鳴く」の「さ」は接頭語である。夜更けに響く声が、妻を恋う切なさを印象づけて結ぶ。
かむなびやま:神の鎮まる山。飛鳥の雷丘などを指すとされる
つまごひ:妻や夫を恋い慕うこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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相思はずあるらむ子ゆゑ玉の緒の 長き春日を思ひ暮らさく
- 次の歌
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霍公鳥汝が初声は我れにもが 五月の玉に交へて貫かむ