朝霧の八重山越えて呼子鳥
鳴きや汝が来る宿もあらなくに
- 歌の意味
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朝霧の立ちこめる幾重もの山を越えて、呼子鳥よ、お前は鳴きながらやって来るのか。泊まる宿もないのに。
- 鑑賞
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巻第十 夏雑歌 1941
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
朝霧の中、幾重もの山を越えて鳴きながらやって来る呼子鳥に、泊まる宿もないのにと語りかける歌である。人を呼ぶ名をもつ鳥が、呼んでも迎える宿のないまま鳴き渡る姿に、あてどない旅の心や独り身の寂しさが重ねられている。本巻の第千九百四十五首と同じく「朝霧の八重山越えて」で始まり、呼子鳥とほととぎすとで対をなしている。
初句「朝霧の」は朝の霧のの意である。
二句「八重山越えて」の「八重山」は幾重にも重なる山の意である。
三句「呼子鳥」は人を呼ぶように鳴く鳥である。春雑歌の第千八百二十二首などに続いて登場する。
四句「鳴きや汝が来る」の「や」は疑問の係助詞で、「来る」の連体形と係り結びをなす。
結句「宿もあらなくに」の「なくに」は打ち消しのク語法に「に」の付いた形で、宿もないのにの意となる。倒置によって寂しさを最後に示している。
やへやま:幾重にも重なる山
よぶこどり:人を呼ぶように鳴く鳥。カッコウの類とされる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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朝霞たなびく野辺にあしひきの 山霍公鳥いつか来鳴かむ
- 次の歌
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霍公鳥鳴く声聞くや卯の花の 咲き散る岡に葛引く娘女