朝霧の八重山越えて霍公鳥
卯の花辺から鳴きて越え来ぬ
- 歌の意味
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朝霧の立ちこめる幾重もの山を越えて、ほととぎすが卯の花のあたりを通って、鳴きながら越えて来た。
- 鑑賞
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巻第十 夏雑歌 1945
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
朝霧の中、幾重もの山を越え、卯の花の咲くあたりを通って鳴きながらやって来たほととぎすを詠んだ歌である。初夏の朝の清々しさと、ほととぎすの到来を迎える喜びが伝わる。本巻の第千九百四十一首と同じ上の句をもち、呼子鳥が宿もないまま鳴き渡る寂しさに対し、この歌はほととぎすが卯の花の中を渡ってくる明るさを詠んでおり、対照的である。
初句「朝霧の」は第千九百四十一首と同じ初句である。
二句「八重山越えて」は幾重にも重なる山を越えての意で、第千九百四十一首と同じ句である。
三句「霍公鳥」は主語である。第千九百四十一首の「呼子鳥」と入れ替わっている。
四句「卯の花辺から」の「から」は経由を表し、卯の花のあたりを通っての意である。
結句「鳴きて越え来ぬ」の「ぬ」は完了である。ほととぎすの到来を喜ぶ心を示して結ぶ。
やへやま:幾重にも重なる山
うのはな:ウツギの花。初夏に白い花を咲かせる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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藤波の散らまく惜しみ霍公鳥 今城の岡を鳴きて越ゆなり
- 次の歌
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木高くはかつて木植ゑじ霍公鳥 来鳴き響めて恋まさらしむ