今夜のおほつかなきに霍公鳥
鳴くなる声の音の遥けさ
- 歌の意味
-
今夜のぼんやりとおぼつかない闇の中で、ほととぎすの鳴いている声の、なんと遥かに聞こえることよ。
- 鑑賞
-
巻第十 夏雑歌 1952
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
おぼろな夜の闇の中で、遠くかすかに聞こえるほととぎすの声を詠んだ歌である。姿の見えない暗がりの中で、声だけが遥かに響くという聴覚の美がとらえられている。結句の「音の遥けさ」という体言止めに、声の余韻と心のもの寂しさとが漂っている。
初句「今夜の」は今夜のの意で、字足らずの句である。
二句「おほつかなきに」はぼんやりとして心もとない中にの意である。夜の闇のおぼろさを示す。
三句「霍公鳥」は声の主である。
四句「鳴くなる声の」の「なる」は伝聞推定の助動詞「なり」の連体形である。姿は見えず声によって鳴いていることを知る様子を示す。
結句「音の遥けさ」は体言止めで、遥かに聞こえる声の余韻を示して結ぶ。
ほととぎす:初夏に渡来して鳴く鳥。夏の代表的な景物
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
うれたきや醜霍公鳥今こそば 声の嗄るがに来鳴き響めめ
- 次の歌
-
五月山卯の花月夜霍公鳥 聞けども飽かずまた鳴かぬかも