五月山卯の花月夜霍公鳥
聞けども飽かずまた鳴かぬかも
- 歌の意味
-
五月の山、卯の花の咲く月夜、ほととぎすの声は聞いても聞き飽きない。もう一度鳴かないものか。
- 鑑賞
-
巻第十 夏雑歌 1953
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
五月の山に卯の花が咲き、月の照る夜に鳴くほととぎすの声を、聞いても聞き飽きないとたたえる歌である。五月山、卯の花月夜、ほととぎすと名詞を三つ重ねた上の句が、初夏の夜の景を一気に描き出している。本巻の第千九百四十二首や第千九百四十五首と同じく、卯の花とほととぎすの取り合わせを詠む。
初句「五月山」は五月の山の意である。初夏の青々とした山を示す。
二句「卯の花月夜」は卯の花が咲き、月の照る夜の意である。白い卯の花と月光が重なる景を示す。
三句「霍公鳥」は体言で、ここまで名詞を重ねて初夏の夜の景物を並べている。
四句「聞けども飽かず」は聞いても聞き飽きないの意で、讃美の表現である。
結句「また鳴かぬかも」の「ぬかも」は打ち消しの疑問で願望を表し、もう一度鳴かないものかの意である。
さつきやま:五月の山
うのはなづくよ:卯の花が咲き、月の照る夜
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
今夜のおほつかなきに霍公鳥 鳴くなる声の音の遥けさ
- 次の歌
-
霍公鳥来居も鳴かぬか我がやどの 花橘の地に落ちむ見む