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卯の花の散らまく惜しみ霍公鳥
野に出で山に入り来鳴き響もす

歌の意味
卯の花が散るのを惜しんで、ほととぎすは野に出たり山に入ったりして、来ては鳴き響かせている。
鑑賞
巻第十 夏雑歌 1957

詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
 卯の花の散るのを惜しんで、野に出たり山に入ったりしながら鳴き響かせるほととぎすを詠んだ歌である。落ち着きなく野山を行き来する鳥の姿に、花を惜しむ切ない心を読み取っている。本巻の第千九百四十四首の「藤波の散らまく惜しみ霍公鳥」と同じ趣向で、藤と卯の花という花を替えて、花を惜しむほととぎすを詠んでいる。

 初句「卯の花の」は初夏の白い花である。
 二句「散らまく惜しみ」は散ることを惜しんでの意で、第千九百四十四首と同じ句である。
 三句「霍公鳥」は主語で、花を惜しむ心をもつ鳥として擬人化されている。
 四句「野に出で山に入り」は野に出たり山に入ったりしての意で、字余りの句である。鳥の忙しく行き来する様子を示す。
 結句「来鳴き響もす」は来て鳴き響かせるの意である。惜しむ思いを声に託して結ぶ。

とよもす:響かせる
出典
万葉集
前の歌
大和には鳴きてか来らむ霍公鳥 汝が鳴くごとになき人思ほゆ
次の歌
橘の林を植ゑむ霍公鳥 常に冬まで棲みわたるがね