古典和歌stream

雨晴れの雲にたぐひて霍公鳥
春日をさしてこゆ鳴き渡る

歌の意味
雨上がりの雲に連れ添うようにして、ほととぎすが春日を目指して、ここを鳴きながら渡っていく。
鑑賞
巻第十 夏雑歌 1959

詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
 雨上がりの雲とともに、春日の方へ鳴き渡っていくほととぎすを詠んだ歌である。雨が晴れて流れていく雲と、それに寄り添うように飛ぶ鳥の姿が、初夏の爽やかな空を描き出している。春雑歌で霞とともに詠まれた春日が、夏にはほととぎすの行く先として詠まれている。

 初句「雨晴れの」は雨が晴れたあとのの意である。
 二句「雲にたぐひて」の「たぐふ」は連れ添う、並ぶ意である。雲と連れ立って飛ぶ鳥の姿を示す。
 三句「霍公鳥」は主語である。
 四句「春日をさして」は春日を目指しての意である。
 結句「こゆ鳴き渡る」の「こゆ」はここを通っての意である。本巻の第千九百五十五首の結句「こゆ鳴き渡れ」と同じ語を用いる。

たぐふ:連れ添う。並ぶ
こゆ:ここを通って。ここから
出典
万葉集
前の歌
橘の林を植ゑむ霍公鳥 常に冬まで棲みわたるがね
次の歌
物思ふと寐ねぬ朝明に霍公鳥 鳴きてさ渡るすべなきまでに