物思ふと寐ねぬ朝明に霍公鳥
鳴きてさ渡るすべなきまでに
- 歌の意味
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物思いをして眠れなかった明け方に、ほととぎすが鳴いて渡っていく。どうしようもないほどに。
- 鑑賞
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巻第十 夏雑歌 1960
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
物思いに眠れないまま迎えた明け方に、ほととぎすが鳴き渡っていき、その声がやりきれないほど心にしみると詠んだ歌である。一夜の物思いの疲れと、明け方に響く鳥の声とが重なり、胸の苦しさがいっそう募る様子が表れている。本巻の第千九百四十九首が明け方のほととぎすを恋人も聞いたかと思いやったのに対し、この歌は眠れぬ夜明けに聞く鳥の声のつらさを詠んでいる。
初句「物思ふと」は物思いをしてとの意である。
二句「寐ねぬ朝明に」は眠れなかった明け方にの意で、「朝明」は夜明けである。
三句「霍公鳥」は主語である。
四句「鳴きてさ渡る」の「さ」は接頭語である。鳴きながら渡っていく鳥の姿を示す。
結句「すべなきまでに」はどうしようもないほどにの意である。倒置によって心のやりきれなさを最後に示して結ぶ。
いぬ:眠る。寝る
あさけ:夜明け。明け方
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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雨晴れの雲にたぐひて霍公鳥 春日をさしてこゆ鳴き渡る
- 次の歌
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我が衣を君に着せよと霍公鳥 我れをうながす袖に来居つつ