本つ人霍公鳥をやめづらしく
今か汝が来る恋ひつつ居れば
- 歌の意味
-
昔なじみのほととぎすを、珍しいものとして今お前は来るのか。恋しく思っていたところに。
- 鑑賞
-
巻第十 夏雑歌 1962
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
昔なじみのほととぎすが、恋しく待っていたところへ今年もやって来たことを喜ぶ歌である。毎年訪れるなじみの鳥を「本つ人」と呼んで親しみを込めつつ、待ちかねた再会を新鮮に喜んでいる。ほととぎすに旧知の人の面影を重ねているとも読める。
初句「本つ人」は昔なじみの人の意で、ここではほととぎすを擬人化して呼んでいる。
二句「霍公鳥をや」の「や」は疑問の係助詞で、四句の「か」とともに問いかけの調子をつくる。
三句「めづらしく」は目新しく、心ひかれての意である。
四句「今か汝が来る」の「か」は疑問の係助詞で、「来る」の連体形と係り結びをなす。
結句「恋ひつつ居れば」は恋しく思っていたのでの意である。倒置によって待ちわびていた心を最後に示している。
もとつひと:昔なじみの人
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
我が衣を君に着せよと霍公鳥 我れをうながす袖に来居つつ
- 次の歌
-
かくばかり雨の降らくに霍公鳥 卯の花山になほか鳴くらむ