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風に散る花橘を袖に受けて
君がみ跡と偲ひつるかも

歌の意味
風に散る花橘を袖に受けて、あなたの残していったなごりとして偲んだことだ。
鑑賞
巻第十 夏雑歌 1966

詞書「花を詠む」
 風に散る橘の花を袖に受け止め、それを恋人のなごりとして偲んだ歌で、題詞は「花を詠む」である。橘の香りは昔の人を思い出させるものとされ、散る花に去った恋人の面影を重ねている。夏の花の一連の最初に、ほととぎすの一連から続く花橘が置かれている。

 初句「風に散る」は風に散るの意である。
 二句「花橘を」は花の咲いた橘をの意で、夏の代表的な花である。
 三句「袖に受けて」は袖に受け止めての意で、字余りの句である。
 四句「君がみ跡と」の「み跡」は足跡、なごりの意である。恋人が去った後に残るものとして花を受け止めている。
 結句「偲ひつるかも」の「つる」は完了の「つ」の連体形、「かも」は詠嘆である。

みあと:足跡。去った人の残したなごり
しのふ:思い慕う。偲ぶ
出典
万葉集
前の歌
思ふ子が衣摺らむににほひこそ 島の榛原秋立たずとも
次の歌
かぐはしき花橘を玉に貫き 贈らむ妹はみつれてもあるか