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雨間明けて国見もせむを故郷の
花橘は散りにけむかも

歌の意味
雨の晴れ間が来たら国見もしようと思うのに、故郷の花橘はもう散ってしまっただろうか。
鑑賞
巻第十 夏雑歌 1971

詞書は前の歌に続き「花を詠む」
 雨の晴れ間を待って国見をしようと思うが、その間に故郷の花橘は散ってしまっただろうかと案じる歌である。長雨に閉じこめられて見に行けないもどかしさと、故郷の花への懐かしさが表れている。「故郷」は旧都飛鳥を指すとも考えられる。本巻の第千九百六十三首と同じく、雨の中で遠くの景を思いやる歌である。

 初句「雨間明けて」の「雨間」は雨の晴れ間の意で、字余りの句である。
 二句「国見もせむを」の「国見」は高い所から国土を眺めることで、「を」は逆接である。
 三句「故郷の」は昔住んでいた土地、旧都のの意である。
 四句「花橘は」は主題を示す。
 結句「散りにけむかも」の「けむ」は過去推量、「かも」は詠嘆である。散ってしまったかと案じて結ぶ。

あままあく:雨がやんで晴れ間になる
くにみ:高い所から国土を眺めること
ふるさと:昔住んでいた土地。旧都
出典
万葉集
前の歌
見わたせば向ひの野辺のなでしこの 散らまく惜しも雨な降りそね
次の歌
野辺見ればなでしこの花咲きにけり 我が待つ秋は近づくらしも