時ならず玉をぞ貫ける卯の花の
五月を待たば久しくあるべみ
- 歌の意味
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時期でもないのに玉を緒に通したことだ。卯の花の咲く五月を待っていたら、あまりに長くかかりそうなので。
- 鑑賞
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巻第十 夏雑歌 1975
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
五月を待たずに、卯の花を玉として緒に貫いたことを詠んだ歌で、夏の花の一連を締めくくる。本来は五月の節句に貫く薬玉を、待ちきれずに卯の花で先に作ってしまったという心の逸りが表れている。本巻の第千九百三十九首や第千九百六十七首と同じく、玉を貫く夏の風俗を詠む。
初句「時ならず」は時期でもないのにの意である。
二句「玉をぞ貫ける」の「ぞ」は強意の係助詞で、「る」は存続の「り」の連体形の結びである。字余りの句で、ここで二句切れとなる。
三句「卯の花の」は次の「五月」にかかり、卯の花の咲く五月の意となる。
四句「五月を待たば」の「ば」は仮定である。五月まで待ったならばの意となる。
結句「久しくあるべみ」の「べみ」は「べし」の語幹に原因の「み」が付いた形で、長くかかりそうなのでの意となる。倒置によって理由を示して結ぶ。
ぬく:玉などに緒を通す
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春日野の藤は散りにて何をかも み狩の人の折りてかざさむ
- 次の歌
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卯の花の咲き散る岡ゆ霍公鳥 鳴きてさ渡る君は聞きつや