- 歌の意味
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橘の花が散る里に私が通って行ったならば、山のほととぎすが鳴き騒ぐことだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 夏雑歌 1978
詞書「譬喩歌」
橘の花の散る里に通ったならば、山のほととぎすが鳴き騒ぐだろうかと詠んだ歌で、題詞は「譬喩歌」である。橘の花散る里は恋人の住む所、ほととぎすの鳴き騒ぐことは人々の噂を譬えると考えられ、恋人のもとへ通えば噂が立つだろうというためらいが表れている。夏雑歌を締めくくる一首で、春雑歌の終わりも譬喩歌の第千八百八十九首であり、配列の対応が見られる。
初句「橘の」は夏の木で、恋人の住む里を思わせる。
二句「花散る里に」は花の散る里にの意である。
三句「通ひなば」の「な」は完了の「ぬ」の未然形、「ば」は仮定で、通って行ったならばの意となる。
四句「山霍公鳥」は山のほととぎすの意で、噂を立てる人々の譬えとされる。
結句「響もさむかも」の「む」は推量、「かも」は詠嘆を含む疑問である。噂が立つことを案じて結ぶ。
とよもす:響かせる。鳴き騒ぐ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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聞きつやと君が問はせる霍公鳥 しののに濡れてこゆ鳴き渡る
- 次の歌
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春さればすがるなす野の霍公鳥 ほとほと妹に逢はず来にけり