春さればすがるなす野の霍公鳥
ほとほと妹に逢はず来にけり
- 歌の意味
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春になるとじが蜂が飛び回る野のほととぎす、その名のように、ほとほと、あやうくあの子に逢わずに帰って来るところだった。
- 鑑賞
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巻第十 夏相聞 1979
詞書「夏相聞 鳥に寄す」
「ほととぎす」の音から「ほとほと」を導き、あやうく恋人に逢えずに帰ってくるところだったと詠んだ歌で、夏相聞の最初に置かれ、題詞は「鳥に寄す」である。上の句は序で、ほととぎすの名の響きを生かした言葉の遊びに、逢えた安堵とあやうさへの思いがこもっている。夏雑歌で景物として詠まれたほととぎすが、夏相聞では恋の歌の序として用いられている。
初句「春されば」は春になるとの意である。夏相聞の歌だが、春から続く野の景を示している。
二句「すがるなす野の」の「すがる」はじが蜂の古名、「なす」は群れなすなどの意とされ、じが蜂の群れ飛ぶ野の意となる。
三句「霍公鳥」は同音の「ほとほと」を導く序の要となる語である。
四句「ほとほと妹に」の「ほとほと」はあやうく、もう少しでの意である。三句の「ほととぎす」と音を重ねている。
結句「逢はず来にけり」の「けり」は気づきの詠嘆である。あやうく逢えずに帰るところだったと振り返って結ぶ。
すがる:ジガバチの古名
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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橘の花散る里に通ひなば 山霍公鳥響もさむかも
- 次の歌
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五月山花橘に霍公鳥 隠らふ時に逢へる君かも