古典和歌stream

五月山花橘に霍公鳥
隠らふ時に逢へる君かも

歌の意味
五月の山の花橘にほととぎすが隠れて鳴くころに、ようやく逢えたあなたであることよ。
鑑賞
巻第十 夏相聞 1980

詞書は前の歌に続き「鳥に寄す」
 五月の山の花橘にほととぎすが隠れ籠もるころ、ようやく恋人に逢えた喜びを詠んだ歌である。花橘に籠もるほととぎすの姿が、人目を忍んで逢う恋人たちの姿と重なっている。本巻の第千九百五十三首と同じく「五月山」で始まり、初夏の景物を重ねて恋の喜びを彩っている。

 初句「五月山」は五月の山の意で、第千九百五十三首と同じ初句である。
 二句「花橘に」は花の咲いた橘にの意である。
 三句「霍公鳥」は主語である。
 四句「隠らふ時に」の「隠らふ」は隠れ籠もり続ける意である。人目を忍ぶ逢瀬を暗示している。
 結句「逢へる君かも」の「かも」は詠嘆である。本巻の第千九百六十九首と同じ結句で、逢えた喜びを示して結ぶ。

こもらふ:隠れ籠もり続ける
出典
万葉集
前の歌
春さればすがるなす野の霍公鳥 ほとほと妹に逢はず来にけり
次の歌
霍公鳥来鳴く五月の短夜も ひとりし寝れば明かしかねつも