ひぐらしは時と鳴けども片恋に
たわや女我れは時わかず泣く
- 歌の意味
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ひぐらしは決まった時を定めて鳴くけれども、片思いのために、か弱い女の私は時の区別もなく泣いている。
- 鑑賞
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巻第十 夏相聞 1982
詞書「蝉に寄す」
決まった時に鳴くひぐらしと、片思いに時を選ばず泣く自分とを対比した歌で、題詞は「蝉に寄す」である。虫の「鳴く」と人の「泣く」とを重ね、片恋の悲しみの絶え間なさを表している。本巻の第千九百六十四首のひぐらしが物思う時に鳴く嘆きを詠んだのに対し、この歌は自分こそが時を選ばず泣くと詠んでおり、ひぐらしと人の立場が入れ替わっている。
初句「ひぐらしは」はカナカナと鳴く蝉はの意で、主題を示す。
二句「時と鳴けども」は時を定めて鳴くけれどもの意で、「ども」は逆接である。ひぐらしが夕方など決まった時に鳴くことを踏まえている。
三句「片恋に」は片思いのためにの意である。
四句「たわや女我れは」の「たわや女」はしなやかでか弱い女性の意である。
結句「時わかず泣く」は時の区別なく泣くの意である。ひぐらしの「鳴く」と対比して結ぶ。
ひぐらし:蝉の一種。夕暮れなどにカナカナと鳴く
かたこひ:片思い
たわやめ:しなやかでか弱い女性
- 出典
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万葉集
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霍公鳥来鳴く五月の短夜も ひとりし寝れば明かしかねつも
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人言は夏野の草の繁くとも 妹と我れとし携はり寝ば