古典和歌stream

鴬の通ふ垣根の卯の花の
憂きことあれや君が来まさぬ

歌の意味
鴬の行き来する垣根の卯の花ではないが、何か憂いことでもあるのだろうか、あなたがおいでにならないのは。
鑑賞
巻第十 夏相聞 1988

詞書は前の歌に続き「花に寄す」
 鴬の通う垣根の卯の花を序として、恋人が来ないのは何か憂いことがあるからだろうかと思い悩む歌である。「卯の花」の「う」が同音の「憂き」を導き、訪れない恋人への不安と恨みがにじんでいる。鴬と卯の花という春から夏への景物を重ねた序が、季節の移ろいとともに待つ時間の長さも感じさせる。

 初句「鴬の」は春の鳥で、夏になっても垣根を通う姿を示す。
 二句「通ふ垣根の」は行き来する垣根のの意である。
 三句「卯の花の」は初夏の花で、上の句は同音の「憂き」を導く序となっている。
 四句「憂きことあれや」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「ぬ」と係り結びをなす。
 結句「君が来まさぬ」の「ます」は尊敬語、「ぬ」は打ち消しの「ず」の連体形である。来ない恋人を思い悩んで結ぶ。

うのはな:ウツギの花。初夏に白い花を咲かせる
出典
万葉集
前の歌
片縒りに糸をぞ我が縒る我が背子が 花橘を貫かむと思ひて
次の歌
卯の花の咲くとはなしにある人に 恋ひやわたらむ片思にして