- 歌の意味
- ほととぎすが来て鳴き響かせる岡のあたりの藤の花を見には、あなたは来ないというのですか。
- 鑑賞
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巻第十 夏相聞 1991
詞書は前の歌に続き「花に寄す」
ほととぎすの鳴く岡辺の藤の花を見にさえ来ないのかと恋人をなじる歌である。前歌の第千九百九十首と同じく「来じとや」で結び、花を口実に恋人の来訪を促している。前歌の家の花橘に対し、この歌は岡辺の藤を持ち出しており、身近な庭から外の景へと誘う場所を広げている。
初句「霍公鳥」は夏の鳥である。
二句「来鳴き響もす」は来て鳴き響かせるの意で、本巻の第千九百六十八首と同じ句である。
三句「岡辺なる」は岡のあたりにあるの意である。
四句「藤波見には」の「藤波」は藤の花で、字余りの句である。
結句「君は来じとや」は前歌の結句とほぼ同じで、恋人をなじって結ぶ。
ふぢなみ:藤の花房が波のように揺れるさま。藤の花
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 我れこそば憎くもあらめ我がやどの 花橘を見には来じとや
- 次の歌
- 隠りのみ恋ふれば苦しなでしこの 花に咲き出よ朝な朝な見む