- 歌の意味
- 心に秘めてばかり恋い慕っていると苦しい。なでしこの花となって咲き出ておくれ。毎朝それを見よう。
- 鑑賞
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巻第十 夏相聞 1992
詞書は前の歌に続き「花に寄す」
心に秘めて恋い続ける苦しさから、恋人になでしこの花となって咲き出てほしい、毎朝見ようと願う歌である。秘めた恋を表に出したいという思いと、恋人を毎日そばで見たいという願いが、なでしこの花に託されている。本巻の第千九百七十首などで詠まれたなでしこが、ここでは恋人の化身として願われている。
初句「隠りのみ」は心に秘めてばかりの意である。
二句「恋ふれば苦し」は恋い慕うと苦しいの意で、ここで二句切れとなる。
三句「なでしこの」は可憐な花で、恋人を思わせる。
四句「花に咲き出よ」は花となって咲き出よの意で、命令形による願いである。
結句「朝な朝な見む」の「む」は意志である。毎朝見ようと願いを示して結ぶ。
こもる:隠れる。心に秘める
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 霍公鳥来鳴き響もす岡辺なる 藤波見には君は来じとや
- 次の歌
- 外のみに見つつ恋ひなむ紅の 末摘花の色に出でずとも