- 歌の意味
- 夏草の露を分けて行く時の衣を着ているわけでもないのに、私の袖は乾く時もない。
- 鑑賞
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巻第十 夏相聞 1994
詞書「露に寄す」
夏草の露を分けて歩いたわけでもないのに、袖が乾く時もないと詠み、恋の涙に濡れる袖を表した歌で、題詞は「露に寄す」である。露に濡れる衣と涙に濡れる袖とを重ね、涙の絶えない恋の悲しみを婉曲に示している。袖を濡らすものを露に託す表現は、後の和歌にも多く見られる。
初句「夏草の」は夏の草のの意である。
二句「露別け衣」は露を分けて歩く時に着る衣の意とされる。
三句「着けなくに」の「なくに」は打ち消しのク語法に「に」の付いた形で、着ていないのにの意となる。
四句「我が衣手の」の「衣手」は袖の意である。
結句「干る時もなき」は乾く時もないの意である。涙に濡れる袖を暗示して結ぶ。
つゆわけごろも:露を分けて歩く時に着る衣
ころもで:袖
ふ:乾く
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 外のみに見つつ恋ひなむ紅の 末摘花の色に出でずとも
- 次の歌
- 六月の地さへ裂けて照る日にも 我が袖干めや君に逢はずして