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赤らひく色ぐはし子をしば見れば
人妻ゆゑに我れ恋ひぬべし

歌の意味
赤く照り映える美しい娘をたびたび見ていると、人の妻であるのに、私は恋してしまいそうだ。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 1999

詞書は前の歌に続き「七夕」
 赤く照り映える美しい織女をたびたび見ていると、彦星の妻であるのに恋してしまいそうだと詠んだ歌である。七夕の一連の中で、地上の人が織女の美しさに心ひかれるという趣向で、天上の星を人間の恋の対象として親しみをもって詠んでいる。「人妻ゆゑに」には禁じられた恋へのためらいとともに、それゆえの心の揺れも表れている。
 作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。

 初句「赤らひく」は赤く照り映える意で、「色」などにかかる枕詞である。
 二句「色ぐはし子を」の「色ぐはし」は色美しい意で、美しい娘をの意となる。
 三句「しば見れば」の「しば」はしばしばの意で、たびたび見るとの意である。
 四句「人妻ゆゑに」の「ゆゑに」はここでは逆接で、人妻であるのにの意とされる。
 結句「我れ恋ひぬべし」の「ぬ」は強意、「べし」は推量で、きっと恋してしまうだろうの意である。

あからひく:赤く照り映える。「色」「肌」などにかかる枕詞となる
ひとづま:他人の妻
作者
柿本人麻呂
出典
万葉集
前の歌
我が恋を嬬は知れるを行く舟の 過ぎて来べしや言も告げなむ
次の歌
天の川安の渡りに舟浮けて 秋立つ待つと妹に告げこそ