大空ゆ通ふ我れすら汝がゆゑに
天の川道をなづみてぞ来し
- 歌の意味
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大空を通って行き来する私でさえも、あなたのために、天の川の道を難儀しながらやって来たのだ。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2001
詞書は前の歌に続き「七夕」
大空を自在に行き来する自分でさえ、あなたに逢うために天の川の道を苦労してやって来たと、彦星が織女に語る歌である。天上の存在である星が、恋のためには苦労をいとわないという姿に、人間の恋の心が重ねられている。春雑歌の第千八百十三首の「なづみ来めやも」と同じく、「なづむ」の語で恋ゆえの苦労を表している。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「大空ゆ」の「ゆ」は経由を表し、大空を通っての意である。
二句「通ふ我れすら」の「すら」はさえの意である。天を自在に行き来する自分でさえと強調する。
三句「汝がゆゑに」はあなたのためにの意である。
四句「天の川道を」は天の川の道をの意で、字余りの句である。
結句「なづみてぞ来し」の「ぞ」は強意の係助詞で、「し」は過去の「き」の連体形の結びである。苦労してやって来たことを強調して結ぶ。
かはぢ:川の道。川を渡る道筋
なづむ:行き悩む。難儀しながら進む
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天の川安の渡りに舟浮けて 秋立つ待つと妹に告げこそ
- 次の歌
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八千桙の神の御代よりともし妻 人知りにけり継ぎてし思へば