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八千桙の神の御代よりともし妻
人知りにけり継ぎてし思へば

歌の意味
八千桙の神の御代から逢うことの少ない妻であったが、人に知られてしまった。絶えず思い続けているので。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2002

詞書は前の歌に続き「七夕」
 八千桙の神の時代から逢うことのまれな妻を、絶えず思い続けているために、とうとう人に知られてしまったと詠んだ歌である。「八千桙の神」は大国主神の別名で、七夕の二星の恋を日本の神代にまで遡らせて、その悠久さを示している。恋心を隠しきれずに人に知られるという人間の恋の姿が、星の恋に重ねられている。
 作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。

 初句「八千桙の」は大国主神の別名である八千矛神を指す。
 二句「神の御代より」は神の時代からの意である。二星の恋の古さを示す。
 三句「ともし妻」は逢うことの少ない妻、めったに逢えない妻の意である。
 四句「人知りにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、ここで四句切れとなる。
 結句「継ぎてし思へば」の「継ぎて」は絶えず、「し」は強意である。倒置によって知られた理由を最後に示している。

やちほこのかみ:大国主神の別名
ともしづま:逢うことの少ない妻。めったに逢えない妻
作者
柿本人麻呂
出典
万葉集
前の歌
大空ゆ通ふ我れすら汝がゆゑに 天の川道をなづみてぞ来し
次の歌
我が恋ふる丹のほの面わこよひもか 天の川原に石枕まく