己夫にともしき子らは泊てむ津の
荒礒巻きて寝む君待ちかてに
- 歌の意味
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自分の夫になかなか逢えない娘は、舟の着くはずの港の荒磯を枕にして寝ることだろう。あなたを待ちかねて。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2004
詞書は前の歌に続き「七夕」
夫になかなか逢えない織女が、彦星の舟の着くはずの港の荒磯を枕に寝て待っているだろうと思いやる歌である。前歌の石枕と同じく、荒磯を枕とする姿に、逢えない間の寂しさと待ちわびる心が表れている。前歌が彦星の側から織女を思いやったのに対し、この歌は第三者が織女の姿を思いやっている。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「己夫に」は自分の夫にの意である。
二句「ともしき子らは」の「ともし」は少ない、めったにない意で、逢うことの少ない娘はの意となる。
三句「泊てむ津の」は舟の着くはずの港のの意である。
四句「荒礒巻きて寝む」の「荒礒」は岩の多い荒れた磯、「巻く」は枕にする意である。字余りの句である。
結句「君待ちかてに」の「かてに」はできずにの意で、待ちかねての意となる。倒置によって寂しい寝姿の理由を最後に示している。
ありそ:岩の多い荒れた磯
まく:枕にする
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が恋ふる丹のほの面わこよひもか 天の川原に石枕まく
- 次の歌
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天地と別れし時ゆ己が妻 しかぞ年にある秋待つ我れは