彦星は嘆かす妻に言だにも
告げにぞ来つる見れば苦しみ
- 歌の意味
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彦星は嘆いておいでになる妻に、せめて言葉だけでも伝えようとやって来たのだ。その姿を見るのがつらいので。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2006
詞書は前の歌に続き「七夕」
嘆き悲しむ織女の姿を見るのがつらくて、彦星がせめて言葉だけでも伝えようとやって来たと詠んだ歌である。第三者の立場から、妻を思いやる彦星の優しさを描いている。本巻の第千九百九十八首で織女が言葉だけでも伝えてほしいと願ったのに応えるような内容で、配列の上で呼応している。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「彦星は」は牽牛星で、主語を示す。
二句「嘆かす妻に」の「す」は尊敬の助動詞で、嘆いておられる妻にの意である。
三句「言だにも」の「だに」はせめて…だけでもの意である。第千九百九十八首の「言も告げなむ」と呼応する。
四句「告げにぞ来つる」の「ぞ」は強意の係助詞で、「つる」の連体形と係り結びをなす。ここで四句切れとなる。
結句「見れば苦しみ」の「み」は原因を表す接尾語で、見るとつらいのでの意である。倒置によって来た理由を最後に示している。
ひこほし:牽牛星。わし座のアルタイル
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天地と別れし時ゆ己が妻 しかぞ年にある秋待つ我れは
- 次の歌
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ひさかたの天つしるしと水無し川 隔てて置きし神代し恨めし