ぬばたまの夜霧に隠り遠くとも
妹が伝へは早く告げこそ
- 歌の意味
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夜霧に隠れて遠く離れていても、妻からの伝言は早く知らせておくれ。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2008
詞書は前の歌に続き「七夕」
夜霧に隠れて遠く離れていても、織女からの伝言は早く伝えてほしいと願う彦星の歌である。見えない距離を隔てても、言葉による心の通い合いを求める切実さが表れている。本巻の第千九百九十八首や第二千六首に続き、言葉を伝えることをめぐる歌が一連の中に繰り返されている。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「ぬばたまの」は「夜」にかかる枕詞である。
二句「夜霧に隠り」は夜霧に隠れての意である。
三句「遠くとも」の「とも」は逆接の仮定で、遠く離れていてもの意となる。
四句「妹が伝へは」は妻からの伝言はの意である。
結句「早く告げこそ」の「こそ」は願望の終助詞で、早く知らせておくれの意である。
ぬばたま:ヒオウギの実。黒いことから「ぬばたまの」で「夜」「黒」などにかかる枕詞となる
つて:伝言。便り
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ひさかたの天つしるしと水無し川 隔てて置きし神代し恨めし
- 次の歌
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汝が恋ふる妹の命は飽き足らに 袖振る見えつ雲隠るまで