汝が恋ふる妹の命は飽き足らに
袖振る見えつ雲隠るまで
- 歌の意味
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あなたが恋い慕う妻の君は、名残惜しそうに袖を振るのが見えた。雲に隠れてしまうまで。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2009
詞書は前の歌に続き「七夕」
別れの際に、名残惜しそうに袖を振り続ける織女の姿を、第三者が彦星に語りかける形で詠んだ歌である。雲に隠れて見えなくなるまで袖を振る姿に、逢瀬の終わりの切なさが凝縮されている。袖を振ることは別れや恋の思いを示す仕草とされていた。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「汝が恋ふる」はあなたが恋い慕うの意で、彦星への呼びかけである。
二句「妹の命は」の「命」は敬称で、妻の君はの意である。
三句「飽き足らに」は満ち足りずに、名残惜しくの意である。
四句「袖振る見えつ」の「つ」は完了である。袖を振る姿が見えたと述べ、ここで四句切れとなる。
結句「雲隠るまで」は雲に隠れるまでの意である。倒置によって袖を振り続けた時間を示して結ぶ。
みこと:神や人を敬って呼ぶ語
くもがくる:雲に隠れる
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ぬばたまの夜霧に隠り遠くとも 妹が伝へは早く告げこそ
- 次の歌
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夕星も通ふ天道をいつまでか 仰ぎて待たむ月人壮士