ま日長く恋ふる心ゆ秋風に
妹が音聞こゆ紐解き行かな
- 歌の意味
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長い間恋い慕ってきた心のせいか、秋風に乗って妻の声が聞こえる。衣の紐を解いて行こう。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2016
詞書は前の歌に続き「七夕」
長い間恋い続けてきた心ゆえか、秋風に乗って織女の声が聞こえる気がして、紐を解いて逢いに行こうと詠んだ彦星の歌である。秋風が逢瀬の季節を告げ、恋しい人の声を運んでくるかのように感じる心の高まりが表れている。前歌の第二千十五首で織女が楫の音を聞いたのに対し、この歌は彦星が妻の声を聞いており、二首は聞く側を入れ替えた対をなしている。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「ま日長く」の「ま」は接頭語、「日長く」は長い日数にわたっての意である。
二句「恋ふる心ゆ」の「ゆ」は原因、経由を表し、恋い慕う心からの意となる。
三句「秋風に」は秋風に乗っての意である。
四句「妹が音聞こゆ」は妻の声が聞こえるの意で、ここで四句切れとなる。
結句「紐解き行かな」の「な」は意志を表す終助詞である。衣の紐を解いて逢いに行こうという心の弾みを示して結ぶ。
ひもとく:衣の紐を解く。共寝することを暗示する
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が背子にうら恋ひ居れば天の川 夜舟漕ぐなる楫の音聞こゆ
- 次の歌
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恋ひしくは日長きものを今だにも ともしむべしや逢ふべき夜だに