恋ひしくは日長きものを今だにも
ともしむべしや逢ふべき夜だに
- 歌の意味
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恋しく思う日々は長いものであるのに、今でさえも物足りなく思わせてよいものか。せめて逢うべき夜ぐらいは。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2017
詞書は前の歌に続き「七夕」
恋しく思う日々は長いのだから、せめて逢うべき今夜ぐらいは物足りない思いをさせないでほしいと訴える歌である。一年に一度の逢瀬の夜を惜しみ、満ち足りた時を過ごしたいという切実な願いが表れている。本巻の第二千九首の「飽き足らに」の名残惜しさと通じ、逢瀬の短さへの嘆きが一連に繰り返されている。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「恋ひしくは」は恋しく思うことはの意で、「恋ひしく」は「恋し」のク語法である。
二句「日長きものを」の「ものを」は逆接で、日数が長いのにの意となる。
三句「今だにも」は今でさえもの意である。
四句「ともしむべしや」の「ともしむ」は物足りなく思わせる意、「や」は反語で、ここで四句切れとなる。
結句「逢ふべき夜だに」の「だに」はせめて…だけでもの意である。倒置によって願いの時を最後に示している。
ともしむ:物足りなく思わせる
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ま日長く恋ふる心ゆ秋風に 妹が音聞こゆ紐解き行かな
- 次の歌
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天の川去年の渡りで移ろへば 川瀬を踏むに夜ぞ更けにける