いにしへゆあげてし服も顧みず
天の川津に年ぞ経にける
- 歌の意味
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昔から織りかけていた機も顧みずに、天の川の渡し場で年月が過ぎてしまった。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2019
詞書は前の歌に続き「七夕」
昔から織りかけていた機も顧みず、天の川の渡し場で彦星を待ちながら年月を過ごしてきたと詠んだ織女の歌である。機織りを本業とする織女が、それさえも顧みないほど恋に心を奪われている姿が描かれている。前歌の彦星の一年の隔たりに対し、この歌は織女の待ち続ける年月を詠んでいる。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「いにしへゆ」の「ゆ」は起点を表し、昔からの意である。
二句「あげてし服も」の「あぐ」は機に糸を張る意とされ、織りかけていた機もの意となる。
三句「顧みず」は顧みないでの意である。機織りの仕事も手につかない様子を示す。
四句「天の川津に」の「津」は渡し場、港の意である。
結句「年ぞ経にける」の「ぞ」は強意の係助詞で、「ける」の連体形と係り結びをなす。過ぎ去った年月の長さを示して結ぶ。
はた:機。布を織る道具
つ:渡し場。港
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天の川去年の渡りで移ろへば 川瀬を踏むに夜ぞ更けにける
- 次の歌
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天の川夜船を漕ぎて明けぬとも 逢はむと思ふ夜袖交へずあらむ