遠妻と手枕交へて寝たる夜は
鶏がねな鳴き明けば明けぬとも
- 歌の意味
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遠く離れていた妻と手枕を交わして寝た夜は、鶏よ、鳴いてくれるな。夜が明けるなら明けてしまってもかまわないが。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2021
詞書は前の歌に続き「七夕」
遠く離れていた妻とようやく共寝した夜、夜明けを告げる鶏に鳴かないでほしいと願う彦星の歌である。夜が明けるのは仕方ないとしても、せめて鶏の声で別れの時を告げられたくないという心に、逢瀬の終わりを惜しむ切なさが表れている。前歌で夜が明けても逢瀬を遂げようと決意した彦星が、ここでは共寝の夜の終わりを惜しんでおり、一連の中で時が進んでいる。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「遠妻と」は遠く離れている妻との意である。
二句「手枕交へて」は手枕を交わしての意である。共寝を示す。
三句「寝たる夜は」は寝た夜はの意である。
四句「鶏がねな鳴き」の「な」は禁止を表し、鶏よ鳴くなの意である。
結句「明けば明けぬとも」は明けるなら明けてしまってもの意で、字余りの句である。夜明けは避けられなくとも、鶏には鳴かないでほしいと願って結ぶ。
とほづま:遠く離れて住む妻
たまくら:腕を枕にすること
とりがね:鶏の鳴き声。鶏
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天の川夜船を漕ぎて明けぬとも 逢はむと思ふ夜袖交へずあらむ
- 次の歌
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相見らく飽き足らねどもいなのめの 明けさりにけり舟出せむ妻