相見らく飽き足らねどもいなのめの
明けさりにけり舟出せむ妻
- 歌の意味
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逢うことにはまだ満ち足りないけれども、夜が明けてきてしまった。舟出をしよう、妻よ。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2022
詞書は前の歌に続き「七夕」
逢瀬にはまだ満ち足りないが、夜が明けてしまったので舟出をしようと妻に告げる彦星の歌である。名残を惜しみながらも別れを告げねばならない切なさが、妻への呼びかけの結句に込められている。前歌で鶏に鳴くなと願った彦星が、この歌ではついに夜明けを迎えて別れを告げており、逢瀬の終わりが一連の中で描き継がれている。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「相見らく」の「相見らく」は「相見る」のク語法で、逢うことはの意である。
二句「飽き足らねども」は満ち足りないけれどもの意で、「ども」は逆接である。
三句「いなのめの」は「明く」にかかる枕詞である。
四句「明けさりにけり」の「明けさる」は夜が明けてくる意、「けり」は気づきの詠嘆である。ここで四句切れとなる。
結句「舟出せむ妻」は舟出をしよう、妻よの意で、呼びかけの形で結ぶ。
いなのめ:「明く」にかかる枕詞
あけさる:夜が明けてくる
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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遠妻と手枕交へて寝たる夜は 鶏がねな鳴き明けば明けぬとも
- 次の歌
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さ寝そめていくだもあらねば白栲の 帯乞ふべしや恋も過ぎねば