さ寝そめていくだもあらねば白栲の
帯乞ふべしや恋も過ぎねば
- 歌の意味
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共寝を始めてからまだいくらも経っていないのに、白い帯を返せと求めてよいものか。恋しさもまだ晴れていないのに。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2023
詞書は前の歌に続き「七夕」
共寝を始めてまだいくらも経たないのに、もう帰り支度の帯を求めるのかと、別れを急ぐ相手を引き留める織女の歌と考えられる。前歌の彦星の舟出の言葉に応じるような位置にあり、別れを惜しむ心が「恋も過ぎねば」に込められている。二首は別れを告げる側と引き留める側とが対をなしている。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「さ寝そめて」の「さ」は接頭語、「寝そむ」は共寝を始める意である。
二句「いくだもあらねば」の「いくだ」はどれほどの意で、いくらも経っていないのにの意となる。
三句「白栲の」は白い布のの意で、次の「帯」を修飾する。
四句「帯乞ふべしや」の「乞ふ」は求める意、「や」は反語で、帯を求めてよいものかの意である。ここで四句切れとなる。
結句「恋も過ぎねば」の「過ぐ」は思いが晴れる意、「ね」は打ち消しの已然形である。恋しさがまだ晴れていないのにと引き留めて結ぶ。
さぬ:共寝する。「さ」は接頭語
いくだ:どれほど。いくら
こふ:求める。乞う
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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相見らく飽き足らねどもいなのめの 明けさりにけり舟出せむ妻
- 次の歌
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万代にたづさはり居て相見とも 思ひ過ぐべき恋にあらなくに