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よしゑやし直ならずともぬえ鳥の
うら嘆げ居りと告げむ子もがも

歌の意味
ええままよ、直接逢うことはできなくとも、ぬえ鳥のように心の中で嘆いていると伝えてくれる娘がいればよいのに。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2031

詞書は前の歌に続き「七夕」
 直接逢えないのはしかたないとしても、せめて自分が心の中で嘆いていることを伝えてくれる使いの娘がいてほしいと願う歌である。本巻の第千九百九十七首と同じく「ぬえ鳥のうら嘆げ」の語を用い、ぬえ鳥の悲しげな声に心の嘆きを重ねている。直接逢えない思いを言葉で伝えたいという、一連に繰り返される願いが見られる。
 作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。

 初句「よしゑやし」はええままよ、たとえどうあろうとの意の感動詞である。
 二句「直ならずとも」は直接でなくともの意で、「とも」は逆接の仮定である。
 三句「ぬえ鳥の」は「うら嘆く」にかかる枕詞で、第千九百九十七首と同じ句である。
 四句「うら嘆げ居りと」は心の中で嘆いているとの意である。
 結句「告げむ子もがも」の「もがも」は願望の終助詞で、伝えてくれる娘がいればよいのにの意である。

ぬえどり:トラツグミの古名。夜に悲しげな声で鳴く
うらなぐ:心の中で嘆く
作者
柿本人麻呂
出典
万葉集
前の歌
秋されば川霧立てる天の川 川に向き居て恋ふる夜ぞ多き
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一年に七日の夜のみ逢ふ人の 恋も過ぎねば夜は更けゆくも